今、NHKで放映中の大河ドラマ「青天を衝け」に登場しています明治学院の大先輩「益田 孝ますだ たかし」をご存知と思いますが、ご紹介します。
ヘボン経済人会 総務財務委員長 柏原 明
益田 孝 嘉永元年（1848年）―昭和13年（1938年）日本の実業家
草創期の日本経済を動かし、三井財閥を支えた。明治維新後、世界初の総合商社・三井物産の設立に関わり、日本経済新聞の前身である中外物価新報を創刊した。茶人としても高名で「純翁」と号し、「千利休以来の大茶人」と称された。男爵。三井合名理事長。
佐渡国雑太郡相川町（現在の新潟県佐渡市相川）に生まれ、幼名は徳之進。父の鷹之助は箱館奉行を務めた後、江戸に赴任。孝も江戸に出てヘボン塾（現・明治学院大学）に学び、麻布善福寺に置かれていたアメリカ公使館に勤務、ハリスから英語を学ぶ。文久３年（1863年）フランスに派遣された父と共に遣欧使節団（第二回遣欧使節または横浜鎖港談判使節団）に参加しヨーロッパを訪れている。ヨーロッパから帰国後は幕府陸軍に入隊、騎兵畑を歩み慶応３年（1867年）には旗本となり慶応４年（1868年）には騎兵頭並に昇進した。
明治維新後は明治２年（1872年）から横浜の貿易商館ウオルッシュ・ホール商会に事務員として１年間勤務して多くの商取引を見聞したのち、自ら中屋徳兵衛と名乗って輸出商を手掛けた。この時期仲間から紹介された大蔵大輔（大蔵次官）の井上薫の勧めで明治５年（1872年）に大蔵省に入り造幣権頭となり大阪へ赴任し、旧幕時代の通貨を新貨幣に切り替える任にあたった。明治６年に尾去沢銅山汚職事件で井上が下野すると益田も続いて職を辞した。翌明治７年には英語に堪能だったこともあって井上が設立した先収会社の東京本店頭取（副社長）に就任。明治９年（1876年）には中外物価新報を創刊。同年、先収会社を改組して三井物産設立と共に同社の初代総轄（社長）に就任する。三井物産では綿糸、綿布、生糸、石炭、米など様々な物品を取扱、明治後期には取扱高が日本の貿易総額の２割ほどをも占める大商社に育て上げた。
三井物産が設立されてからは、渋沢栄一と共に益田の幕府騎兵隊時代の同期生の矢野二朗（商法講習所所長）を支援した為、物産は多くの一橋大学出身者が優勢を占めた。三井内部では工業化路線を重視した中上川彦次郎に対して商業化路線を重視したとされている（但し、後述の三井鉱山の設立や團琢磨を重要したように工業化路線を軽視したわけではなかった）。更に三井財閥総帥であった中上川の死後実権を握ると経営方針の中で、中上川により築き上げられた三井内の慶応義塾出身者を中心とする学閥を排除することを表明し、中上川の後継者と目されていた朝吹英二を退任させ、三井財閥総帥には團琢磨を、三井銀行には早川千吉郎を充てた。又、工部省から三池炭鉱の払下げを受け明治２２年に三池炭鉱社（後の三井鉱山）を設立、團を事務長に据えた。明治３３年に台湾製糖設立、大正２年（1913年）辞任。昭和１３年（1938年）９０歳にて死去。
福沢諭吉と縁の深い益田克徳、益田英作（貿易商）は実弟で兄と同じく財界数寄者であった。又、次男に益田太郎冠者（劇作家）、三男に益田信世（初代、小田原市長）がおり、歌手・岩崎宏美の前夫は玄孫にあたる。
出典：Wikipediaより抜粋